1 min to read
Intuitive Ui For Simplified Air Conditioner Control
Cover guides users to intuitive operation
DAIKIN エアコンリモコン
教室の壁に設置されたエアコンの操作盤．カバーを閉じた状態だと液晶と電源ボタンだけが露出しており機能が限定されている．細かい設定を行うためにはカバーを開ける必要がある．このリモコンが設置された場所は自習室のような使われ方をするため，主に学生など施設管理者以外の一般ユーザによる操作が想定されている．
シグニファイア
カバーを閉じた状態において，電源ボタンのみが目立つ黄色になっており，加えて，「運転・停止」というラベルから，電源ボタンであることを示唆され，シグニファイアとして働いている．また，家庭用，業務用問わず，エアコンのリモコンには多くのボタンなどの操作部がついている場合が多いが，このリモコンの場合は見えているボタンが一つしかない．これにより，電源ボタンの発見可能性を高め，また，ユーザがボタンの機能を理解することを助けている．
フィードバック
液晶は現在のエアコンの設定状態をユーザに示しており，各種ボタン操作に対するフィードバックとして働いている．また，電源ボタンの横にはLEDがついており，エアコンの電源がONのときに点灯，OFFのときに消灯することで，ユーザに対しエアコンの電源状態をフィードバックしている．いずれの機能も，ユーザがエアコンの状態を理解することを助けている．これは，一つのボタンが複数の意味を持つことによって発生するモードエラーを防ぐ働きがある．
物理的制約
このリモコンは液晶の下にカバーが付いており，このカバーを開けると電源ボタン以外の操作部が露出し，ユーザが操作することができる．これは，カバーを閉めた状態においては各種設定用のボタンを操作することを制限する物理的制約として働き，電源ボタンを押そうとして異なるボタンを押してしまうというスリップを防いでいる． また，カバーはリモコンの複雑な機能を隠すという機能もある．これによって，ボタンを押すとエアコンがON/OFFするという簡単なシステムモデルを提供し，ユーザはこのリモコンについている1つのボタンがエアコンの電源のON/OFFに使われることを容易に理解することができる．
文化的制約
エアコンリモコンのカバーは，ユーザの理解を助ける効果的なUIとして機能すると同時に，閉じた状態を維持するための文化的制約も備えている．公共の場には，配電盤や消火栓のような施設管理者や専門業者以外が触れてはいけない設備が設置されていることがあり，これらはしばしばカバーによって隠されている． これらの設備に付いたカバーは，多くの場合において開けられることを示すデザイン（シグニファイア）となっているが，一般の人が勝手に開けることは稀である．これは，カバーというデザインが「開けてはいけない」という意識をユーザに与えるためである． エアコンリモコンも同様に，教室という公共施設に設置されているため，そのカバーには不用意に開いてはいけないという文化的制約が働いている．このような制約により，ユーザはその人にとって必要な機能を適切に理解し，意図しない操作を防ぐことができる．