Milk Carton

The form is not changing but it is evolving.

Featured image

生協牛乳

牛乳パックは、1915年にアメリカで開発され、1930年代にアメリカで普及した。日本には、1969年ごろに導入され、圧倒的シェアを誇っている。現在の日本で最も有名な形状がケーブルトップ(屋根型形状)と呼ばれるものである。安定感と注ぎ口の大きさにより牛乳だけでなく、さまざまな飲料で使用されている。

文化的制約

現代日本で生活していて牛乳パックを見たことがない人はいないであろう。それほど圧倒的なシェアを誇り、飲み物を売っている店には必ずといってもいいほどどこにでもあるものである。40年以上基本の構造は変化しておらず、開け方がわからない人はほとんどいないであろう。これは文化的制約があるからこそこの容器をみれば開け方がわかるのである。

対応付け

この製品には「あけくち」の部分が矢印のようになっており、開ける部分との対応付けが行われている。生産者側が矢印の方から開けることを想定しているからである。また、開け方の手順を絵と文字で表記することで手順と対応付けている。開くまで見えないのではないかという意見もあるが、開いていなくても一番最初の手順である「両側に開いてください」の文字は見えるようになっている。

ヒューマンエラー

うっかり「あけくち」とは反対の方から開けてしまったというヒューマンエラーが起きたとする。このヒューマンエラーは、行為ベースのスリップの記述類似性スリップにあたる。このスリップに対して結果的に事前の対処となっているのがのりしろの存在である。構造上「あけくち」の反対側は、紙が二重になっており、正しい「あけくち」より開けにくくなっている。開けにくければ途中で気付く人も出てくるであろう。また、事後の対処では、構造上どちらで開けても注ぐことは可能になっている。結果的に構造上の理由からスリップを防ぐ機能とスリップが起きてしまった後の対処の機能として成り立ってしまっている。

シグニファイア

日本の牛乳には製品上部に「切り欠き」と呼ばれるものがついている場合がある。これは資格障がい者向けにつけられたものである。ジュースや加工乳製品にはついておらず、牛乳にしかついていない。資格障がい者の牛乳とそれ以外の判別ができないという意見のもと2001年からつけられた。義務ではないのですべての牛乳についているわけではない。そして、この「切り欠き」は牛乳を判別するという行為のシグニファイアといえる。視覚障がい者は触ることで健常者は見ることで牛乳を簡単に判別することができる。また、選び間違いというヒューマンエラーの防止も担っている。

ユニバーサルデザイン

障がい者向けに作られたデザインは、特に注意を払って設計されているものが多い。これにより障がいがない人にとっても利点となりうる場合が多い。