Simple microwave

Minimum required functions

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電子レンジ

紹介するのは食品を温める機能のみを持ち合わせた価格が1万円前後の単機能電子レンジである.このレンジにはオーブン機能や料理ごとの加熱メニューは存在せず,加熱する強さ(ワット数)と加熱時間を本体右側のつまみを用いて選択,調節する.以上がこの電子レンジに搭載されている機能である.

次に使用方法を説明する.まず,取っ手を引いて電子レンジを開き,中に温めたい食品を入れて閉める.取っ手横の上にあるつまみで加熱の強さ(ワット数)を選択して,下のつまみで加熱時間を調節する.加熱の強さ(ワット数)はつまみを両方向,加熱時間はつまみを時計回りに回して,つまみ上の赤い線をメモリに合わせることで決定できる.加熱が開始すると電子レンジの中にあるオレンジ色のランプが点灯する.加熱が終了するとベルの音が鳴り,オレンジ色のランプが消えるためそれが確認出来たら電子レンジから食品を取り出す.以上がこの電子レンジの使用方法である.

対応付け

対応付けとはスイッチやボタンなどの操作系と操作対象の機器の位置関係を表す.この電子レンジで操作する機能は加熱の強さ(ワット数)の選択と加熱時間の調整の2つである.この電子レンジでは1つのボタンやスイッチで機能の操作すべてを行うのではなく,別々のつまみで行う.これによってユーザが加熱の強さ(ワット数)と加熱時間のどちらを調整,選択しているのかが明確にわかる.これは機能の数だけ操作系を用意するという自然な対応付けであり,1つの操作系ですべての機能を制御した際に起こりうるモード選択の間違いを防ぐことができる優れたデザインである.

物理的制約

物理的な制約によって可能な操作の幅を狭めている優れたデザインを紹介する.この電子レンジは操作するための機構が上下に配置されている2つのつまみだけであるため,可能な操作がつまみを回すことのみになっている.これによってボタン式の電子レンジで起こる機能を選択、加熱時間調節のためにボタンを連打、ボタンの押し間違いがなくなる.シンプルな操作でユーザが混乱することを防いでいる優れたデザインである.

発見可能性

発見可能性とはどのような行為が行えるのかが判断できることを表す.この電子レンジのつまみ、特に時間調整を行う下部のつまみの周りには分ごとに区切られたメモリが存在する.また,分ごとのメモリの間に30秒を表す細いメモリも存在する.このメモリはユーザの正確な時間調整をサポートする優れたデザインである.

フィードバック

電子レンジは加熱を行う家電製品であり,適切に使用するためのフィードバック(応答)が存在する.上部の加熱の強さ(ワット数)を調整するつまみにはワット数が書かれているメモリにつまみを合わせるたびにばねによる引っ掛かりがある.これによって自分がどのワットを選択しているかを感覚的に確認できる.さらに、加熱中のみレンジ内がオレンジ色に点灯する.これによってユーザはオレンジ色に点灯しているのかどうかで電子レンジが加熱中かを判断することができる.さらに終了時にはベルの音が鳴るため,レンジから離れて別の作業を行っていても聴覚を通してレンジが加熱し終えたことを確認できる.

シグニファイア

シグニファイアとはどんな行為ができるかを示すものである.これは時間調整を行うつまみに使われている.つまみ周りの時間を表すメモリが時計回りに増加しているためユーザはつまみを時計回りに回せば加熱時間を増やせると理解できる.説明書を読まずとも理解できるという点で優れたデザインだと考えられる.